3-13 Day3 明けない夜はない、陽はまた昇る

3/13

まだ冠水は引かず。
朝に近くのマンションに住んでいる学生さん達が叫んでいるので、
顔を出して応答してみる。

「人が、、、、人が浮いています!!」

嗚呼、おそらく昨日の人だ。。。
裏の墓地の中にいたんだ。
心から冥福を祈った。本当に死にたくなるくらい辛い目にあったんだ。
そして絶望して、自ら死を選んだ。
絶対に希望だけは持ち続けなきゃ。

そう、死んでしまったおじさんに誓った。
後で住職さんに伝えるから。
お互い頑張ろう!と、声を掛ける。

少しすると、近所で自宅二階に避難した人達が窓から顔を出す。
みんなで声を掛けあって、励まし合う。

そんな時、水没した道路を消防の方だろうか、
歩いているのを見つける。
大声で声をかけて、把握している近所と自分の現状を伝える。
これで助かるかなと少し期待する。

その日のご飯はカップラーメン、そのスープに
炊飯器の中に余ってたカピカピのご飯を入れておかゆにする。
干飯っていうのかな。本当に米ってありがたい。

ツイッターで現在の状況をつぶやく。
とても大変で悲惨なニュースばかりが流れている。
でも、みんな、知らない人まで応援してくれていて、本当に力になる。
きっと、みんなついてるって思えなかったら、心が折れていたかもしれない。
本当にありがたくて、ありがたくて、一人でトイレの中で涙した。

と、そんな時に電話が通じなくなる。
SoftBank、DoCoMoも。どうやら基地局がやられてしまったらしい。
バッテリーが勿体無いので、電波OFFモード、機内モードにして電源を落とす。

こういう時の大敵は退屈。
退屈になると、段々と物事を最悪な方向へとばかり考えてしまう。
これは、、と思い、ぐちゃぐちゃになった自室から、
ポケット将棋を持ってきた。
久しぶりに親子で将棋対決。
そういえば、仕事のこととか全く考えないでいる時間、
何十年ぶりだろうなぁと、つぶやく親父の言葉が印象的だった。





















こうなってしまって、手に入る時間。
物凄く、今までの「普通」とされるライフスタイルを考えさせられている。

もっと、地球に負担のかけない、人に負担のかけない、地域が栄えて横に繋がるライフスタイル。
きっと、これからとても必要になると確信する。

数時間、将棋盤と睨めっこをしていると、低空飛行をしている
陸上自衛隊と航空自衛隊のヘリコプターを数機見る。助かるか!?
と、思うと近くの大きな文房具屋の屋上から一人か二人運ばれている。
おそらく、病人か怪我人を運んでいるんだろう。
目で確認できる範囲だと、屋上には十人以上は確実にいた。
もうちょっと我慢か。






水位はまだ減っていない、むしろちょっと増えてる?!
まだまだ水没の不安はある。
どうか、明日は水が引きますようにと、願いをこめる。
焦ってもしかたがない。
もう、覚悟を決めなければな。

そんな事を、酷く静かで灯りの無い街を、涙が出るほど美しい月を観ながら思う。






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