3-17 -2 Day7 明けない夜はない、陽はまた昇る

3/17 -2

枡くんと門脇、南浜町地区に歩いて行き、その光景に
言葉も涙すらも出なかった。
その後に、瓦礫をかき分けながら、
近くに居る人達と歩ける道を探しながら、日和山にある鹿島御児神社(日和山神社)に行き、
門脇、南浜町、そして旧石巻ハリストス教会や石ノ森萬画館のある中瀬の全貌を
見て、初めて涙が溢れたのを覚えている。
その頃にはコンコンと降っていた雪も止んでいた。







手を合わせ、ひたすら犠牲になった人達の冥福を深く祈る。
仏式も神式も関係なく。ただ祈る。

売店に行くと自動販売機が作動しているのを見て驚く。
みんな順番で並んで飲み物を買っている。
枡くんが奢ってくれたお茶を飲みながら、数分、ぼーっとする。

山を降りて別行動をすることにした。
山の上の住宅は麓や、僕の住んでいる地域とは全く別世界だなと思うほど、
住宅があり、人が歩いていて、信号機も動いていた。
山の上を天国、下を地獄とするような宗教画があったような、
きっと昔もこんなことがあったのだろうなと、そんなことを思いながら歩いた。





近くの高校は避難所になっていて、
昇降口には沢山の安否確認の張り紙されていた。
僕はそれを出来る限り写真に撮り、Twitterにアップした。




僕は遺体安置所になっていた総合体育館、
別の避難所になっている図書館へ行く為に、そこで枡くんと別れる。

実は、叔父さんが行方が分かっていない、安否確認が取れていない。
海に詳しいあの叔父さんのことだから大丈夫だとは思うけれど、でも。
という不安があり、足が遺体安置所に向いていた。
玄関口に入ると、沢山の人が確認に来ている。
僕も中に入る為に、どこの誰を探しているのかを伝えるデスクがあった。
でも、足が固まる。
まだ、よそう。きっとまだだ。

もしかしたら何か虫の知らせのようなものがあったのかもしれないけれど、
その時はそれを素直に受け入れずにいたんだと、今になり思う。

その後に図書館の方に足を向ける。
なんか中に入って知合いを探す気力がその時は無く、
図書館の上にある羽黒山鳥屋神社に行って、少しぼーっとした。
色々壊れているが、気の動転した自分を落ち着かせてくれる場所であるのは間違い無かった。


その後、舛くんの実家に戻り、
充電したバッテリー、MacBookを引き取らせてもらった。
本当にありがたい。
帰り道に大町通りを通ると、親戚がやっているお肉屋さんの
おじちゃんと偶然あった。
無事だった、また涙が滲み出そうになる。

そのおじちゃんが作業していた隣には地面に突っ刺さった車。
その車には赤いマジックでこう書いてあった。

「明けない夜はない」

それを見た時に、強く希望を持ち続けようと改めて思った。






家に帰る途中で、全国から来てくれている消防の人達の列に会い、
大きい声でありがとうございます!と叫んでいる自分がいた。




自宅で一息。
iPhoneを見ると姉からメールが入っている。受信時間は早朝だ。

「破水した。今から入院です。」

え!!?



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