3-15 -1 Day5 明けない夜はない、陽はまた昇る


3/15 -1

14日の夜も、13日の夜もだけれど、
一つ気がかりなものがある。
僕の家から南側に、日和山がある。その方角からずっと煙が上がっていて、
夜はその方向が赤くぼんやりしている。
まるで空襲を受けたかのように。

朝方、もうすっかり太陽が昇る時間に目が覚めて、行動を開始して、
陽が落ちると共に休むというライフスタイルに身体が合わされているみたいだ。
皮肉なことに、これがきっと本来生き物が送る生活スタイルで、
夜空の美しさを感じたり、月の光をありがたく感じたり、そういうことが出来る、
こんな状況になってこれを感じるとは。
そして、間違いなくそう感じている瞬間に自分の身の回りで
苦しんでいる人達がいて、息絶えてしまった人たちも沢山いると思うと、
生きている事自体が本当に奇跡で、こういうことを感じていて、
生きていると思うこと自体が
ありがたくて、ありがたくて、涙が出てくる。

朝起きると、家の前の冠水も引いていて、
門から出ることが出来るようにもなっていた。
石巻駅、市役所の方も冠水は引いてちゃんと歩いていけると、
通りがかったおじさんに教えてもらう。

市役所にはボートが道上に、そして道の様々なところに魚も転がっている。
自衛隊の方々が道を綺麗にしてくれているようで、
使える道も増えている。
前日、僕が確認できた遺体も無くなっているところをみると、
全国の消防か自衛隊の方が運んでくれたんだなと、
彼らの働きに感謝し、そして亡くなった方に改めて合掌する。





前夜に親父と話していて、親戚や知合いの安否確認が出来たので、
それを伝えるのと、家の中で見つけたちょっとした食べ物を、
出産前のゆかこ姉に届けにまた歩いて病院に行くことに。

前日とは別の道を探しながら行こうと思い、
石巻駅方面から山下まで抜ける道を通ろうと思ったら、
冠水で通れず、結局また同じ道を使うことに。
途中で給水車が県外から来ていたのをみてありがたくなった。
お肉屋さんの人だろうか、自分の冷蔵庫を放出して、
自主的に炊き出しをして無料でみんな振舞っている人達も。
家の井戸を開放して、洗い水としてみんなで使っていたり、
みんな助けあっている。
そういう場を見ると、少しだけ心が暖まる。








街の通っていなかった道を通ってみる。
電柱はひん曲がり、道路に船があった。






友人の喫茶店「もも」の安否を確認しに行こうと思うけれど、
まだ冠水が引けず、しかもまだこの地域は結構深いので、
途中までしか進めなかった。
無事でいることを祈って、そこを後にして病院に向かった。







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